テフロン™の誕生

1938年4月6日朝、入社2年目、26歳のロイ・プランケット博士はジャクソン研究所へ出勤し、研究中の冷媒の開発の仕事を始めた。前日、彼は、テトラフルオロエチレン(TFEモノマー)を約50Kg作り、50本のボンベへ充填し、一晩ドライアイス上に置いていた。そのうちの一本を使うためバルブを開けた。ところが、何も出てこなかった。しかし、重さは変わっていない。プランケット博士はボンベを逆さにして振ってみた。すると、白い粉が少し床に落ちた。そこで、プランケット博士と助手はそのボンベを切断してみた。そして、白色のワックス状の物質がボンベ内面にビッシリ付着しているのを発見した。一晩の間に自然にTFEが重合した物と推測された。

テフロン™発見時のプランケット博士の実験ノート
この失敗についてのプランケット博士の最初の反応は普通の人と同じで、「失敗してしまった。やり直さなければならない。」であった。しかし、すぐに彼の化学者の本能が頭をもたげた。彼はその物質を自分の実験室へ持って行き、調べたところ重合したTFE(PTFE)はどのような物質とも反応せず、また溶解しなかった。プランケット博士はTFEからPTFEへの再現性を確認し、製品化のためPTFEの研究を継続した。 第二次大戦中は耐食性、耐熱性、絶縁性などでマンハッタン計画をはじめ、軍事用に活用されたが、民生用には、加工性の悪さ、非粘着性に加えて、非常に高価であったため、なかなかマーケットを開拓できなかった。デュポン社は1945年にテフロンを商標として登録し、販売は1946年から開始され、あらゆる産業へ浸透してゆくとともに、成長を始めた。

ロイ・プランケット博士(右)と助手

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